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ノッティングヒルの芸人(前編)

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わたしの名前は呂別 樹里亜(ろべつ じゅりあ)、19歳。


ママがこの世で一番好きな映画「プリティ・ウーマン」のヒロインを演じたジュリア・ロバーツにちなんで、わたしに『樹里亜』って名付けたんだって。その名前に、日本に10人くらいしかいないって聞いた、珍しい名字『呂別』を並べて英語っぽく読むと、「ジュリア・ロバーツ」と聞こえなくもないでしょ。

この名前とジュリア・ロバーツ並みの高身長のお陰(彼女と同じ175センチなの!)で、わたしは大学の友達から「ハリウッド」って呼ばれているんだけど、実はそのあだ名、結構気に入ってるんだ。彼女を意識して前髪はセンターで分けて、大きめのパーマをかけてるんだけど、誰かからも似てるねって言われたことなんてないから、ただの自己マンなんだけど。


ママが最初に見せてくれた映画は「ノッティングヒルの恋人」、これもジュリア・ロバーツのヒット作。
そしてわたしがこの世で一番好きな映画。

いくら名前が似てたって、身長が同じだって、髪形を真似したって、ハリウッド女優になれるわけもなく、大学での成績は中の中、見た目も中の中の普通の女の子(少し謙遜w)。ま、仲間内では盛り上げ役だから、映画で言うウィリアム(ヒュー・グラント)の妹ハニーってところかな。詳しくは映画を見てね。

でも、これだけは映画と同じかもしれない。
「自分だけを必要としてくれる、たった一人の男性を探し求めている」ことはね。


本屋でアルバイトすることにしたのは、もちろん映画に影響されてのこと。
映画のあらすじでは、ジュリア・ロバーツ演じるハリウッド女優アナ・スコットの恋人となるウィリアムが本屋のオーナーだから、ここにいたら何だか運命の人が現れる気がしてワクワクする。男女の役回りは逆になっちゃうけど。

とっても暇な本屋だから、わたしはいつもノートに理想の相手像を書き連ねているの。

たくましい、誠実、ポリシーがある、つかみどころのない人・・・こんな人現れる訳ないかぁ、なんて書いては消して、ため息をふぅ~ってついていたら、店長に「恋でもしてるのか」って心配されたことがあったっけ。広い意味で考えるとそれは間違いじゃないんだけど、わたしが追い求めている人は、そんな簡単なものじゃない。

なぁ~んて日々が続くと思っていたら、運命は突然訪れた!!


その人は、お店に入ってきたとき、どんなハリウッドスターよりも輝いて、魅力的に見えた。


彼は自衛隊っぽい迷彩柄のTシャツとダークグリーンのカーゴパンツに白いスニーカー、つばに葉っぱの模様と正面に鳥のマークみたいなのが入った黒いキャップを被って、石原裕次郎がしていそうなサングラスを掛けてたから、明らかに店内で目立ってた。それに歩くときはやたら動きが早いし、曲がるときはなぜか90度に進んでいくから、絶対に普通の人じゃないと思ったの。
しばらくして彼が「宣戦布告」、「亡国のイージス」、「天空の蜂」をレジに持ってきたとき、あたしは彼をじーっと見つめちゃった。でも彼はサングラスをしているから、表情が読めない!なんてミステリアス!!
テンションは上がっていても仕事はちゃんとしなくちゃ店長に怒られちゃうから(割と冷静w)、きちんとお会計をして、お金を頂いてお釣りを渡したら、彼は「ありがとう」と小さな声で言って店を出ていった。


彼が店を出て行って、5秒くらいボーっとしちゃったけど、ハッと気付いた。


「このチャンスを逃す手はない!」って。


「ノッティングヒルの恋人」みたいに本屋で出会ったわたし達が再会するのは、あの名場面、曲がり角でオレンジジュースをかけちゃうハプニングなんてどうかしら。きっと彼は駅に向かうはずだから、先回りして角で待ってみよう。ジュースを買っている時間はないから、お昼に買ったコンビニのコーヒーを持ってわたしは店を飛び出した・・・


ダッシュしたのなんていつ振りだろう。何とか先回りできたのはいいけど、息が上がりすぎて「肩で息をしている」っていう比喩を体現しちゃってるわたし。呼吸を整えながら彼を待った。
そして、彼がやってきた瞬間・・・・


ドンっ!


「あ、すみません!!コーヒーかけちゃった。どうしましょ~」って走りながら考えていたセリフを発したら、思ったより自分が大根役者でビックリ。
「大丈夫です、これ防水なんで」って彼が言うから、やっぱり自衛隊の方なのかなと思って、スゴいですね、って言ったら、
「ついでに防寒、防臭を施し、更には防弾もできます」って言ってきたの!さすがに薄っぺらいTシャツが防弾なんて信じられなかったから
「防弾はウソ、ですよね?」って突っ込んだら、失礼します、って帰ろうとする彼。まさか図星?いやいや防弾とか防水はどうでもよくて、言わなきゃいけないことがあるでしょ、わたし!

彼が行こうとする方向を慌ててとうせんぼして、ストレートに思いを伝えることにした。

「あ、あの・・・突然ですが・・・」思い切り息を吸って、さぁ言うぞ!と思ったら彼が大声で、
「突然!!」って叫んで、急に屈んで小さく丸まっちゃったの。わたしは何だか恥ずかしいやら、ワケわかんないやらで、どうしたのか尋ねてみたら、「突然の奇襲に備えての防御です!」って。んなわけないでしょ。

わたしに攻撃する意思がないことを丁寧に伝えたら、ようやく普通の立ち姿勢に戻ってくれてホッ。とにかく早くこっちが何か言わなきゃ、彼は何を言いだすか分かんないから、勢いで言っちゃった・・・


「相方になってください!わたし、あなたと漫才コンビになりたいんです!」(言えた!)

「断る!」

「ですよね・・・やっぱり、お仕事・・・自衛隊の方ですよね」(ここは少し引いてみて…)

「異なる!」

「え!じゃあその格好は?」(なんだこの人!やっぱり面白い!!)

「こだわり!」

「趣味ってことですか!?」(ヤバい!面白すぎる!)

「失礼します!」


と、テンポの良いやりとりの後、彼はものすごく素早い動きで駅の方へ歩き出して行っちゃった。

さすがにいきなり『漫才コンビを組んでください』は無謀すぎたかなぁ。でもこのチャンスを逃したら、こんな面白い人にはもう出会えないかもしれない。やっぱりもう一度お願いしてみよう。せめて、もう少し話を聞いてもらおう。

わたしは、全力で彼を追いかけた。そして彼の見えなくなった角を曲がろうと体を傾けた瞬間・・・


ドンっ!


誰かとぶつかって、わたしはその人の持っていたコーヒーで服がビチョ濡れになった。急いでる時に限って何でなの!!わたしは思わず「ちょっと、どうしてくれるんですか!」と文句を言っちゃった。すると、そのぶつかってきた人が、
「あ、すみません。よかったら僕の家そこなので、服乾かしましょう」って何か聞いたことのあるセリフを棒読みで言ってきた。あれ、これ何のセリフだっけ。それにこの声はなんだか聞き覚えのある声。

顔を上げると、さっきの彼が目の前に・・・。

彼がいたことも衝撃的だったけど、ぶつかってコーヒーをかけてきて、さらに家に来て乾かそうって、そう、これはまさにノッティングヒルの恋人の名シーン!彼も映画のこと、知ってたんだって嬉しくなっちゃった。

「映画、知ってたんですね」って聞いてみたら、彼はいきなり、

「姿勢を取れー!!」って、ほふく前進の構えを歩道でし始めた。わたしが戸惑っていると、目で「お前もやれ」って合図を送ってきたから、わたしも彼と同じように道に寝そべった。

そして彼の「進めー!」の掛け声で2人でほふく前進を開始した。

3mくらい進んだとき、彼がこう言ったの。

「バディを組めぇ!」

え、なになに!?この発言って、コンビ結成ってことだよね!?
もう嬉しくてテンションアゲー↑ってなっちゃって、彼と一緒に10mくらいほふく前進したら、通行人から思いっきり痛い目で見られるし、履いていたデニムがボロボロになっちゃったけど、全然平気だった。きっとアドレナリンが大量に分泌されてたから。

それから次に会う約束をして帰ったんだ。



to be continued....
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テーマ : 作家活動
ジャンル : 学問・文化・芸術

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プロフィール

まりお

Author:まりお
「“フリ”ライター」高島まりおです。

気になる方へインタビューし、記事を書いていきます。
その他、面白いこと、楽しいこと、興味あることを中心に、綴っていきます。

月一でインタビューイベントを開催しています!
「フリライターまりおの取材してるふり。」

イベントと記事(ブログ)連動していますので、こちらも是非チェックをお願いします。


目指すは…Sex And The Cityのキャリーブラッドショー!

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